花粉症シーズン到来
今シーズンの花粉の飛散量は「平年並み」とされています。多かった昨年に比べて少ないとはされていますが暖冬の関係で飛散が早く、1月3週目頃から症状が出ている方もいらっしゃいます。早期に治療を始める初期療法は、症状の発症を遅らせ飛散シーズン中の症状をやわらげることができます。内服治療は症状が悪化する前に開始してください。
治療薬の選択
今年は内服薬、点鼻薬とも新薬は発売されませんでした。2020年版鼻アレルギー診療ガイドラインに基づいた、重症度に応じた治療薬の選択を紹介します。
軽症の方に使う薬
- 第2世代抗ヒスタミン剤(ザイザル、デザレックス、アレジオン、アレグラなど)
- 抗ロイコトリエン剤(シングレア、オノンなど)
- プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬(バイナスなど)
- Th2サイトカイン阻害剤(アイピーディ)
- 鼻噴霧用ステロイド剤(アラミスト、ナゾネックス、リノコートなど)
中等症の方に使う薬
くしゃみ・鼻漏型
- 第2世代抗ヒスタミン剤 + 鼻噴霧用ステロイド剤
鼻閉型
- 抗ロイコトリエン薬 + 鼻噴霧用ステロイド剤 +第2世代抗ヒスタミン剤
もしくは
第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤(ディレグラ)+ 鼻噴霧用ステロイド剤
重症の方に使う薬
くしゃみ・鼻漏型
- 鼻噴霧用ステロイド剤 + 第2世代抗ヒスタミン剤
鼻閉型
- 鼻噴霧用ステロイド剤 + 抗ロイコトリエン薬または プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬(バイナスなど)+ 第2世代抗ヒスタミン剤
もしくは
鼻噴霧用ステロイド剤 + 第2世代抗ヒスタミン剤・血管収縮薬配合剤(ディレグラ)
薬の特徴
花粉症の治療薬について、それぞれの特徴を詳しくご説明いたします。
第2世代抗ヒスタミン剤
- 治療の中心的薬、飛散時期は量に関係なく連用することが大切。
- 効果の発現はマイルドで連用により改善率が上昇する。
- 作用時間が長く1日1回ないし2回の内服です。
- 眠気が無いのはアレグラ、クラリチン、デザレックス、ビラノア、抗ヒスタミン作用が強いのはザイザル、ビラノア、タリオン、アレロック。
- ザイザル:
- 最も使われている薬です。最高2錠飲めます。昨年、オーソライズドジェネリック(先発品そのものを他メーカーが販売しているもの:「レボセチリジン武田テバ」)が発売され、値段も4/10になり益々人気が出そう。
- デザレック:
- クラリチンの成分で眠気が少ないのが特徴です。作用時間が一番長い薬です。
- ビラノア:
- 45分で効果が現れ、強力です。食事に影響されるため、食事の1時間以上前、または食後2時間以上で飲みます。脳内移行が最も少ない(眠くならない)薬剤でパイロットや自衛隊で使われているそうです。
今まで抗ヒスタミン薬で満足できなかった方は配合剤を試してみるのも一つの方法です。
- ディレグラ:
- アレグラと塩酸プソイドエフェドリンの配合剤で鼻閉症状が強い場合のみの最小限の期間にとどめて朝、夕の空腹時に内服します。
- ルパフィン:
- 活性代謝物はデザレックスで、アレルギー性疾患の病態に深く関与しているPAFを押さえる作用が加わった物で1日1回で倍量の内服も可能。値段も通常の抗ヒスタミン薬と同じくらい。
抗ロイコトリエン薬
- 鼻づまりに対しては抗ヒスタミン剤よりも有効。
- 1回の内服ならシングレア、効果を求めるならオノン(1日2回)。
鼻噴霧用ステロイド剤
- 効果の発現はやや遅いが連用で強い効果が期待出来る。
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3症状に効果があります。
- お風呂上がりなど鼻が通っているときに使うのがコツ。
- 原則両側に使用する。
- 眼の症状がある人にはアラミストがお薦め。
- ナゾネックス:モメタゾン点鼻液50μg「杏林」というオーソライズドジェネリックがあります。
- 市販薬で使われる血管収縮薬は即効性はありますが連用で肥厚性鼻炎になることがあるので短期にとどめましょう。
免疫療法
免疫療法(舌下免疫療法など)につきましては当クリニックでは試行しておりませんので耳鼻科にお尋ねください。
花粉症対策お勧めサイト
花粉症対策に関する情報が得られるおすすめのWebサイトをご紹介します。
Check!
tenki.jp
https://tenki.jp/live/
日本気象協会の情報サイトで、地区ごとの週間花粉飛散情報が載っています。スマホ用の無料アプリもあります。天気や雨雲情報も分かるので便利だと思います。
大正製薬「スギ花粉症の予防と治療」
https://brand.taisho.co.jp/allerlab/kafun/016/
KYOW KIRIN「花粉症ナビ」
https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/index.html