花粉症シーズン到来
今シーズンの花粉の飛散量は「やや多め」とされています。天気による変動も大きく、雨の日は少なめですが、雨の後の晴れた日には飛散量が増えます。1日の中でも正午頃と夕方に気温の低下とともに舞い上がっていた花粉がおりてくるため症状が悪化する方が多いです。早期に治療を始める初期療法は、症状の発症を遅らせ飛散シーズン中の症状をやわらげることができます。内服治療は症状が悪化する前に開始してください。
治療薬の選択
今年は新しく眼の症状に「アレジオン眼瞼クリーム」が発売されました。1日1回まぶたに塗るだけで点眼薬と同等の効果が出るそうです。点眼を忘れがちの方には1日1回で済むのでいいかもしれません。
内服薬、点鼻薬とも新薬は発売されませんでしたが、人気のアレジオン点眼薬、アラミスト点鼻薬にAGが出ましたのでお薬代が安くなります。
2024年版鼻アレルギー診療ガイドラインに基づいた、重症度に応じた治療薬の選択を紹介します。

薬の特徴
花粉症の治療薬について、それぞれの特徴を詳しくご説明いたします。
第2世代抗ヒスタミン剤
- 中枢抑制,抗コリン作用などの副作用が少ない。
- 全般改善度はよい。
- 鼻閉に対する効果がややよい。
- 効果の発現がやや遅いが,長く持続する。
- 連用により改善率が上昇する。治療の中心的薬、飛散時期は量に関係なく連用することが大切。作用時間が長く1日1回ないし2回の内服です。
- 眠気が無いのはアレグラ、クラリチン、デザレックス、ビラノア、抗ヒスタミン作用が強いのはザイザル、ビラノア、タリオン、アレロック。
- ザイザル:
- 最も使われている薬です。最高2錠飲めます。昨年、オーソライズドジェネリック(先発品そのものを他メーカーが販売しているもの:「レボセチリジン武田テバ」)が発売され、値段も約4/10です。
- デザレック:
- クラリチンの成分で眠気が少ないのが特徴です。作用時間が一番長い薬です。
- ビラノア:
- 45分で効果が現れ、強力です。食事に影響されるため、食事の1時間以上前、または食後2時間以上で飲みます。脳内移行が最も少ない(眠くならない)薬剤でパイロットや自衛隊で使われているそうです。
今まで抗ヒスタミン薬で満足できなかった方は配合剤を試してみるのも一つの方法です。
配合剤
- ディレグラ:
- アレグラと塩酸プソイドエフェドリンの配合剤で鼻閉症状が強い場合のみの最小限の期間にとどめて朝、夕の空腹時に内服します。
- ルパフィン:
- 活性代謝物はデザレックスで、アレルギー性疾患の病態に深く関与しているPAFを押さえる作用が加わった物で1日1回で倍量の内服も可能。値段も通常の抗ヒスタミン薬と同じくらい。眠気に注意が必要です。
抗ロイコトリエン薬
- 鼻粘膜の容積血管拡張や血管透過性を抑制し,鼻閉を改善する。
- 鼻閉に対する効果は,第2世代抗ヒスタミン薬よりも優れる。
- 好酸球浸潤や鼻汁分泌を抑制する。
- くしゃみ,鼻汁にも有効である。
- 効果発現は内服開始後1週までに認められ,連用で改善率が上昇する。
- 1回の内服ならシングレア、効果を求めるならオノン(1日2回)。
鼻噴霧用ステロイド剤
- 効果は強い。
- 効果は強い。
- 副作用は少ない。
- 鼻アレルギーの3症状に等しく効果がある。
- 眼症状にも効果がある。
お風呂上がりなど鼻が通っているときに使うのがコツ。原則両側に使用する。眼の症状がある人にはアラミストがお薦め。オーソライズドジェネリックがあります。
- ナゾネックス:
- モメタゾン点鼻液50μgオーソライズド。ジェネリックがあります。
市販薬で使われる血管収縮薬は即効性がありますが連用で肥厚性鼻炎になることがあるので短期にとどめましょう。
免疫療法
免疫療法(舌下免疫療法など)につきましては当クリニックでは試行しておりませんので耳鼻科にお尋ねください。