2017.07.04
最近読んだ異色の本を紹介します。「I Love Youの…
最近読んだ異色の本を紹介します。「I Love Youの訳し方」です。 かの夏目漱石は「月が綺麗ですね」と日本人の奥ゆかしさと雅やかさを持って訳すとこうなると逸話があります。 二葉亭四迷が「死んでもいいわ」と訳した話も漱石との対比としてよく挙げられます。この本は100人の作家の訳し方と言うよりも愛の表現の仕方を紹介してくれています。幾つかをご紹介します。
●先生、首をしめてもいいわ。うちに帰りたくない。 川端康成「みずうみ」
●もう青春は終わったと思っていたのに。 有吉佐和子「悪女について」
●ねえ これっきりにしないでね... 林真理子「1年ののち」
●きみを知る前の腎性を忘れてしまいたい。ぼくはきみからはじまり、きみで終わる。きみがすべて、きみだけを通して呼吸している ジャン・コクトー「ジャン・マレーへの手紙」
●すきになる ということは 心を ちぎってあげるのか だから こんなに痛いのか 工藤直子「痛い」
●僕はずっとあなたのことを思いつづけて来ました。あなたがきっと元気で生きてたいて、僕のことを忘れないでいて下さると思うことが、暗い生活の唯一の光でした 三島由紀夫「恋の都」
30年前ならもっとワクワクして読んだかもしれません。若い方(心だけでも可)にお薦めです。